「手持ちの駒は、たくさんありますから、順番に会ってみたらどうですか。」
こんな風に、おっしゃる方でした。
数日後、三越エレガンス前で待ち合わせ、近くの茶店で「お見合い」となった訳ですが、
通されたその狭い部屋には、10数人の雲水さんでいっぱい。
皆からは、冷やかされつつ、対面に遠く離れた彼女とは、話出来よう筈もなく、
帰りの阪急電車で、彼女の名前と連絡先と職業が小学校の教師であるとやっと聞き出した。
「順番に〜」とおっしゃって戴いたが、
当時の私には、二股三股を掛けるほどの厚かましさも図々しさもなく、
なりゆきで結婚を決めてしまった。研磨石、当時29歳。

医者と坊主と教師は、世の中の3大世間知らずだ、などと嘯いてる私だが、
坊さまと、先生さまの御縁で、今あることは、人には言えない。

その坊さまが、本日 04:00 逝ってしまわれた。
なんの恩返しもできぬうちに逝ってしまわれた。
弊社の新しい企画にご協力願おうと考えていた矢先に、逝ってしまわれた。
偶然とは思えないこの因縁に、この新しい企画実現こそが、
坊さまへの恩返しになるような気がしています。